「焼き尽くせ、これ以上の禍根が生まれる前に──────」

時は幻代　魑魅魍魎が跋扈し　猛威を振るう
人々の生活を守らんと　闇世の中　蠢く人間達が　生きていた

立ち止まっては　いられない　時代の波
やがて抗えない戦火が迫る

闇と生き、闇に生きる者達。 怪異に物ともせず立ち向かう者達は祓族と呼ばれていた。

弱冠だと揶揄されつつ人を動かす立場となった晦不月(みそかふつき)は祓族の中に存在していた。

何も知らないまま、何も感じないまま、何かを感じようとしないまま。

任務中いつものように部下を配置につかせ、周辺の情報を得ていた間際、
奴隷の少年から目が離せなくなる。

少年は身体中傷だらけだった。だが、煌々と燃える瞳だけは何者にも侵されない空の果てを感じさせた。

それから数年後。

奴隷の少年は名前を得、人らしく成長した。二人は学び舎へと進む。

穏やかに、騒がしい、人の中でたくさんのものを与えられ、喪っていく。

出逢わなければ幸せだったのだろうか？